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経営者は従業員の有給休暇取得を制限できるのか?

私たちと提携するeisuユニオンから、三重県の大手学習塾eisuで発生した労働問題の続報が入りました。それによると会議中、経営者が次年度に向けた社員への訓示の中で、有給休暇をたくさん取っている部署があると指摘した上で、eisu社員が有給休暇を取得すると不利益な取扱いを受けるかのような発言を行いました。この結果、社員からの相談や要望がeisuユニオンに相次いでいるそうです。

経営者による有給休暇の取得妨害発言

私たちと提携するeisuユニオンから、三重県の大手学習塾eisuで発生した労働問題の続報が入りました。

それによると会議中、経営者が次年度に向けた社員への訓示の中で、有給休暇をたくさん取っている部署があると指摘した上で、eisu社員が有給休暇を取得すると不利益な取扱いを受けるかのような発言を行いました。この結果、社員からの相談や要望がeisuユニオンに相次いでいるそうです。

eisuユニオンはすぐに会社に対し回答要求を行いました。回答文で会社は『eisu社員が有給休暇を取得することによって何ら不利益な取り扱いを受けることはない』と説明しており、社員の有休取得に対する制約やペナルティ等の不利益取り扱いを否定しました。

eisuユニオンの活動により、有給休暇の取得については従来と変わらず個々のeisu社員が自分の意思で自由に取得できることをあらためて会社に追認させました。

 詳しくはeisuユニオンのブログ1月14日の全体会議の問題点(第2回) | eisu ユニオン (rouso.jp)  をご覧ください。

経営者がその雇用する労働者に、有休を取ると何らかのペナルティがあることを暗に告知し、労働者に有休を取らせないように仕向けることは、労働基準法に違反します。これは上司が部下にやったとしても同様に違法行為となります。ましてや経営者が労働者に有休を与えない、有休を取得したことを理由に減給や降格を行うことも労働基準法違反になります。

ウィザスの有給休暇取得に関する問題

ウィザスでも有給休暇の取得については紆余曲折がありました。今も問題が残っています。以下は社員の大多数を占める教室等の「現場勤務」のケースです(人数の少ない「本部」は事情がまったく異なることが前提になります)

2019年の法改正で、会社は、社員に最低5日は有給取得を取得させる義務が生じました。これより前は、集団指導第一ゼミナールでは、社員は年間で担当する授業が決まっているので、有給休暇を取得する際には授業を代講してくれる講師の手配が必要でした。

当然費用もかかるし、校長職以下の社員は上司の手前、申請しにくい雰囲気があり、ほぼ取得できないのが常識のようになっていました。だから「有休って、新婚の時くらいしか取れないよね」というような状態が長く続いていました。

個別指導ファロスでは、有給休暇よりも遥かその前に、休日出勤した場合の対応すら満足な状態ではありませんでした。代休を取ることはほぼ不可能で、代休取得の代わりとして、事務員のいる教室では遅出出勤や、授業をしている講師に戸締りをお願いしての早退などで対応するように指示されていました。

2015年~2018年頃には、ようやく「休日出勤手当」が支給されることになりました。しかし2019年頃から就業規則を変更せずに作られた「就業管理マニュアル」が登場した結果、以前に逆戻りし、「休日出勤手当」の申請が困難になってしまいました。

それが、2019年の法改正以降、あたかも「ウィザスの働き方改革」というような言い方で、年5日は有給休暇を取るように、ようやく通達が出されました。ウィザス社員は法律の改正を知らないとでも思ったのでしょうか。実際には法改正に加えて罰則規定も設けられたためにやむを得ず導入しただけのことですが。

これ以降、組合は社に対し、有給休暇を含めた社員の休日確保に関する様々な提案を行いながら団体交渉を続けてきました。これは今でも続いています。

問題もありました。本来、有給休暇は労働者が自由に取得できるはずが「有休推奨日」なるものが決められたこともありましたが、個別指導ファロスでは今は原則なくなりました。集団指導ゼミナールでは「授業なし日」というのが設定されており、それを活用して交代で有休を取るようにしていますが、逆に言えば、それだと「自由に」は取りにくいということです。

また、以前にも記載しましたが、有給休暇を取得するためには、個別指導ファロスでは自分で自分の教室から「1日教室長代理」を見つけなければならず、しかもその人件費が自分の教室の「経費」として計上されてしまうという問題が残っています。これでは有給休暇を取るほど自分の教室の利益が減ってしまうことになります。

小規模校はこれ以上教室を運営しても利益が上がらないと本部から判断されると、閉校されるという恐怖感もあるので、特に小規模校の責任者は安心して有休を取ることはできません。

さらにルールをまげて、少しでも「経費」を抑えようとする教室責任者も現れているのも報告されていますが、なんらの対応も行われていないのが現状です。したがって「ウィザス社員は、条件が幾つかありながらも、かろうじて年5日の有給休暇を取れるようになった」というのが今の正確な状況です。

学習塾でも有給休暇の確実な取得を!

学習塾業界には「生徒第一」という自己犠牲を前提とした独特の労働観があり、有休を利用して仕事を休むことに抵抗を感じる人もいまだに多いです。また有休制度そのものや、社員の有休取得に理解を示さない経営者も多いです。

教室勤務の場合はほとんど有休が取れない。休みたくても休めないという意見も、他塾で働く塾人からもよく聞きます。同時に介護休暇や育児休暇などの整備は他の業界に比べて著しく遅れていると思います。私たちウィザスユニオンは、学習塾業界に残っているこうした古い体質を改善していくことも労働組合の役割の一つだと考えます。

ウィザス社員の皆さん、ともに立ち上がりましょう。eisuユニオンそしてeisu社員の皆さん、一緒に頑張っていきましょう。

With-us ウィザスユニオン

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