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第一ゼミナールの個別指導(ウィザス) ファロス教室の閉校問題

全国の学習塾・予備校・民間教育業界で働く皆さん。全国のユニオン関係者の皆さんへ。

ウィザスでは現在、個別指導学院ファロスの「S」教室で、そこで勤務するウィザスユニオン組合員への不当な人事異動が実施されています。教室責任者である組合員のM氏は1月6日に突然、教室に来たエリア長T氏から『S教室を2月いっぱいで閉鎖するので、あなたは3月以降他の校舎へ移動になる。どこの校舎に配属されるのか。職位がどうなるのかは決まっていない』と通告されました。

もともとM氏は昨年3月にS教室の責任者として異動してきたばかりで、S教室には丸1年も勤務していません。昨年M氏がS教室に異動してきた理由も、実は極めて不自然なものです。

M氏は以前責任者として勤務していた「T」教室で、労使協定を締結する際、会社の不透明で強引なやり方に対し、組合を通して改善を要求していました。これに対し会社は、組合が申入れた団体交渉を一方的に拒否し、M氏をS教室の責任者として異動させた経緯があります。

また、この時M氏の異動先であるS教室では、組合が導入に反対していた、変形労働時間制に関する労使協定が、社員には公表されずに締結されていました。

ウィザスの社内制度・社内体制の問題点

ウィザス(第一ゼミナール、個別指導ファロス他)には、さまざまな社内問題が山積しています。しかし、社員の労働意欲向上や、社員の待遇改善に関心が低い経営陣はなかなかそれを理解しません。以前より、ウィザスユニオンは次の問題点を指摘してきました。

1.人事評価制度の不透明さ

人事評価の結果がどうなのか、待遇にどう反映されているかが、本人にはまったく分からない。これが、「人事を含む運営全般への脅迫的言動」を引き起こし、2014年の個別指導部門責任者のパワハラ問題に繋がり、組合発足のきっかけとなりました。

2.社員への情報開示の不徹底

社内の人員配置や人事等の発表がなく、わかりにくいこと。会社の方針が決定される過程が不透明、決定に関する責任の所在が曖昧。

3.就業規則を変更せず休日出勤や時間外勤務のルールを変更する

変形労働時間制を大部分の社員には秘密にして一部で先行導入していた。昨年7月の変形労働時間制の全社への導入の際には、全社員への説明をたった5分で済ませるという形で強行した。

4.独裁的・強権的な経営

経営における「決定理由」の説明不足や、重要な決定において現場社員の意見を聞こうとしない傲慢な経営手法が、社員の意欲低下や離職増加を引き起こしている。

5.労働組合の敵視、軽視

ウィザス本社は当労組との団体交渉をもう1年以上拒否し続けています。新しい案件での団交申入れにも一切応じていません。会社の団交拒否は「不当労働行為」であり、当労組は昨年9月、大阪府労働委員会に救済申立を行い、現在係争中です。

社内の組合員弾圧のための教室閉鎖か?

突然の教室閉鎖の問題につきM氏からの申し出により、すぐにウィザスユニオンは会社に団体交渉を申入れしましたが、一切これに応じていません。今回の突然の教室閉鎖について、組合との交渉を拒否している事実は重大ですが、それ以外にも「おかしな点」がいくつもあります。

①閉校通達から閉校までの時間が短期過ぎる疑問

S教室は年が開けてすぐの1月半ばに生徒や保護者に閉校を告知し、2月で閉鎖(受験生は例外的に3月上旬)になりました。学習塾の労働組合として当労組と提携するeisuユニオンやワオコーポレーションの組合員の方に、このような短期間での教室閉鎖はあり得るのか聞いたところ・・

『テナントの賃貸契約更新の数か月前には閉校が決まっているはずで、生徒や保護者には少なくとも3か月以上前に告知するのが普通。閉校決定から1週間程度で生徒や保護者に告知することはしない。そんなことをすれば保護者から本社にクレームが入る』と言っていました。学習塾業界の常識に照らしても、閉校への準備期間があまりにも短か過ぎると思います。

②教室の閉校基準や閉校理由が不透明

教室責任者M氏が本部のエリア長T氏と教室閉鎖について面談した時、教室閉鎖の理由を問うたところ、「過去5年間において、基準となる生徒数50名に一度も達したことがない」と説明しました。その後、付け加えて「昨年度よりも利益が落ちており、教室に将来性がない」と説明しました。ここにもいくつか疑問点があります。

1.そもそも、S教室は開校から5年ほどしか経過していない。

2.閉校基準の50名には達していないが、50名まであと3人という時期はあった。また過去5年で50名達成という閉校基準を初めて知った。こんな基準は社内で共有されていない。

3.S教室よりも生徒数が少ない教室が1つや2つでなく複数存在する。それらの教室も一度は上記の生徒数基準は越えているものの、いずれも開校後8年以上経過しており、その生徒数基準を越えた時期はかなり前で、かつ期間も短い。

そして、なにより疑問視される点として、閉校になったS教室は・・

4.2021年度の3月から12月において生徒数の「増加率」は個別指導部門の教室では5位以内だった。教室の売上もM氏が責任者となった本年度は昨年度より上向きつつあった。

5.2021年度は生徒の退塾が減少した。その結果、生徒の「継続率」も個別指導部門の教室では5位以内だった。

これらから、会社の校舎閉校基準は極めて曖昧で、エリア長による閉校理由の説明も、M氏が求めた他の教室と比較した客観的な売上数値等は一切開示されておらず、最初から「教室閉鎖ありき」の一方的かつ不透明な説明に終始しているのは明らかです。

③会社は教室への支援をまったく実施していない。教室を見に来てもいない

当労組と提携するeisuユニオンやワオコーポレーションの組合員の方から、次のような意見をもらいました。『売上が低迷している校舎には、普通なら本部やエリア長からのテコ入れがあるはず。ある程度の期間を置いて十分に支援しても、売上が上がらずやむを得ず閉校となるケースもあるが、S教室ではエリア長などからの具体的な支援等があったのか?』と聞かれました。これに関しては・・

1.この1年間、本部長、副本部長、直属のエリア長ですらも一度も教室の様子を見に来なかった。M氏が上長から教室の状況について報告を求められたことも一度もない。教室の実際の運営状況は本社幹部やエリア長は知らないはずである。

2.閉校しなければ経営上の危機を迎える状況であるとの説明を受けたが、M氏がS教室の責任者となった昨年3月以来、会社やエリア長からM氏に一度もそのような説明がなかった。

3.利益が見込めないという、閉校決定の数値的な根拠は一切示されなかった。また会社がS教室の閉校を決定した時期も明らかにしなかった

つまり、会社はS教室の状況を実際に見たり調べたりはしておらず、M氏に直接話を聞くこともしていない。エリア長を通して確認させることもしていない。S教室が不採算校舎というのならファロス本部やエリア長はこの間いったい何をしていたのか? 教室の売上アップの方策を何もやっていない。これはファロス本部やエリア長の職務怠慢ではないのか。

会社の支援等がまったくないまま放置され、ある日突然「将来性がない」という理由で閉校を決定するのは、あまりにも無責任ではないか。これはS教室に通っている生徒や保護者の立場をまったく考えていないとも言える。ウィザスは本当に「顧客第一」「顧客満足」の経営を実行しているのだろうか?

ウィザス本社はウィザスユニオンとの交渉を1年以上拒否しており、大阪府労働委員会でも係争中です。労使紛争が継続する中、組合員であるM氏が責任者をつとめるS教室が突然閉鎖となった。しかも上述したように、S教室の閉校に関しておかしな点がいくつもあるのは、会社はもともと閉校が決定されていたS教室にM氏を異動させ、1年後にそこを閉鎖して、M氏の業務を取り上げ、職位を下げ、あるいは遠方へ異動させることで自主退職に追い込もうとしたのではという見方もできる。

会社の今までの当労組への対応や、団体交渉を1年以上拒否していることから考えても、今回の校舎閉校はウィザス社内の組合員に対する嫌がらせ、不当労働行為であると組合は判断している。

ウィザスの校舎閉校問題についての当労組の見解

コロナ禍での経済状況のもとでは、教室の閉校はどこの学習塾にも起こり得ることです。教室を閉校することは会社の経営判断により決められることですが、閉校決定の理由が不透明で、閉校になった教室への会社の対応にもおかしな点があまりにも多いです。会社の「閉鎖ありき」の強引なやり方は、その教室で働くウィザス社員の観点からも、その教室に通う生徒や保護者の立場からも、大いに問題があります。

社員からすれば、会社の人事評価が分からない以上、自分の働く場所が無くなった場合、それが経営判断なのか退職強要の手段なのか判断がつかず、「自分から退職するように仕向けられているのではないか」という疑念を抱える可能性があります。非常勤講師からすれば、慣れ親しんだ職場が突然なくなり、懸命に指導してきた生徒とも別れ、解雇され、次の仕事を探さなければなりません。

生徒、保護者からすれば、ファロス個別指導学院の教育方針やサービスを信頼していたのに、突然それを打ち切られます。特にファロス個別指導学院での受講で受験を乗り切ろうと考えていた方々はなおさらです。教室責任者を信頼し、担当講師との相性も良く、勉強にも意欲を持って取り組めていた生徒達は、短期間で新たな塾を探さねばなりません。新しく通う塾は信頼出来るのか、馴染めるのかなどを短期間に決めなければいけません。

したがって、いくら会社の経営判断だからと言って、会社の校舎閉校の決定を唯々諾々と無条件に受け入れるだけでは、ウィザスで働く社員が一方的に不利益を押し付けられ、ウィザスに通う生徒・保護者の顧客利益が損なわれ、その結果、ウィザスという企業のブランド価値が棄損することになるではと危惧しています。

私たちウィザスユニオンは、ウィザスで働くすべての人達のため、また第一ゼミナールやファロスに通塾している生徒の学習の場や学習機会を確保するためにも、会社の一方的で不透明な理由による教室閉鎖には断固反対します。

With-us ウィザスユニオン

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