ウィザスユニオン公式サイトの7月8日のブログ記事にて、大阪府労働委員会に対して、ウィザス本社(これ以降は社と書きます)の不当労働行為について訴えを起こしていることに関して報告いたしました。
ウィザスの団交拒否をめぐる闘争 – With-us ウィザスユニオン (rouso.jp)
現在、ウィザスユニオンが大阪府労働委員会に提訴している、社の不当労働行為の内容は以下の3つです。社は私たち労働組合ウィザスユニオンとの団体交渉をもう2年半以上拒否し続けています。
【第40号事件】
2020年2月の、組合員の校舎異動、それに起因する労働条件の変更、手当削減に関する当労組からの団体交渉申入れを社が拒否していること。21年に提訴。
【第66号事件】
2020年7月に強行した、ウィザス全社員への一年単位の変形労働時間制導入に関する当労組からの団体交渉申入れを社が拒否していること。21年に提訴。
【第5号事件】
2022年1月の、組合員が勤務する校舎を明確な理由なく突然閉鎖したこと、それに伴う組合員の労働条件変更に関する当労組からの団体交渉申入れを社が拒否していること。22年に提訴。
今年8月に、大阪府労働委員会から、当労組、社の双方に対して求められる書面提出による調査がありました。そこで、今年の案件である2022年(不)5号に関して、「最終陳述書」の提出も行われました。昨年の案件である2021年(不)第40号、同年(不)第66号に先駆ける形になります。審理番号直前にある(不)は不当労働行為の事件であることを意味します。
2022年(不)5号事件は、「最終陳述書」が提出されることで、今後のスケジュールが確定しました。大阪府労働委員会は、この件に関して、今年12月に決定を下します。
なお、本来であれば、双方の証人尋問を行った上で、最終陳述が行われますが、大阪府労働委員会、当労組、社の三者が必要なし、と判断したため、証人尋問は行われず、最終陳述に進みました。
これは、何を意味するのか。
本年度の(不)第5号の争点が極めてシンプルであり、大阪府労働委員会から見た場合、誰がどう見ても、社の不当労働行為が明らかであり、社としても証人尋問を受け入れたところで覆す余地がない。という判断に至ったのではないかと当労組は考えます。
そのことが影響したのか、最終陳述書の提出のあったこの8月のタイミングで、社から、大阪府労働委員会と当労組に対して、「和解」の申し入れがありました。
前回のブログでもお伝えしていましたが、「労働者本人と話をしているから、団体交渉は不要、だから団体交渉拒否にはあたらない。」という社の主張は、到底、不当労働行為であるという指摘から逃れえないのは、当初より明らかでした。
このような社の主張がもし認められるとするなら、今後の日本で重大な問題が起こります。それは、「労働者本人と直接話をしているから」 という理由で、会社が労働組合からの団体交渉申入れを簡単に拒否できるようになってしまうことです。これは労働組合の存在ひいては労働組合法、日本国憲法に規定される労働三権の否定につながります。
つまり、極めて危険な考え方なのです。大阪府労働委員会もさすがにこのような社の主張を認めることはできないと思います。判断のさじ加減次第では、今後の日本の労使関係に重大な影響を及ぼすことも考えられます。
にもかかわらず、この論拠で、ここまで労使紛争を長引かせてしまったことに、当労組としては社の状況判断能力や行動力にいささか疑問を感じるところです。
当労組では、上記状況が理解できて、最終結果が出てしまってからの損害を考えれば、社が和解提案をするならば、早い段階で申し入れるのが得策と判断すると考えておりました。しかし、そのようなことは全くなかったため、当労組は和解による解決を想定から外していました。
とはいうものの、大阪府労働委員会を通じて正式に出された和解提案です。
ウィザスユニオンは、大阪教育合同労働組合、弁護士、そして共闘するeisuユニオンやワオコーポレーション分会とも協力しながら、社から提示された和解案について真摯に検討することにいたしました。
ただし、大阪府労働委員会での審査日程には影響を与えないことを大阪府労働委員会にも確認しております。まず、本年の(不)第5号の12月結審は変わりません。また昨年度に提訴した第40号、第65号の解決を粛々と進めていくことに変更はありません。