ウィザスの不当労働行為が認定されました!
2022年11月、ウィザスユニオンの組合員の待遇変更についての団体交渉をウィザスが拒否しているとして大阪府労働委員会に救済を求めていた「2022年(不)5ウィザス事件」について、
大阪府労働委員会は、社の団体交渉拒否を不当労働行為と認め、組合の主張を全面的に認めました。
「組合員の労働条件の変更については、事前に組合と協議する」これは、2014年に労働組合ウィザスユニオンとウィザス(会社)との間で一番最初に行われた団体交渉で合意した内容でした。
自明のことですが、労働組合は、組合員の雇用や待遇を守るべく闘います。まして、このような合意があるのですから、会社の都合だけで、一方的に組合員の待遇を変更するというのであれば、当然組合は団体交渉を求めます。
会社は2年以上も団交拒否
社はそれまでに2回の団体交渉を拒否しています。2021年、団体交渉を拒否して、長時間労働の是正を求めて36協定の協議を求めていた組合員を異動させました。
2回目の団体交渉拒否は、2021年、会社が組合との団体交渉での約束を守らず一方的に実施した「1年単位の変形労働時間制」の全社員への導入に反対する団体交渉でした。
いずれも、大阪府労働委員会に救済申立を行い、この2つは合わせての併合審理にして不当労働行為を争っていました。
さらに今度は、2021年に団体交渉を拒否して異動させた組合員の勤務する教室を、会社は何の前触れもなく、1年で閉校しました。組合員にも組合にも、数値的、合理的な閉校理由は示さず、さらに組合員の次の異動先も不明、としました。
合意に基づき話し合いを求める組合の団交申入れを聞き入れず、またしても会社は団体交渉を拒否しました。
2022年2月末の教室閉校を、1月に入ってから伝えるという、時間的な余裕のない決定でした。組合は組合員の待遇確保、そこで働く講師の雇用、そして不透明な閉校措置で多大な迷惑を被る生徒保護者のため、いったん閉校を留保させるよう、大阪府労働委員会に対して、「実行確保措置」の申立ても行いました。そして法令を順守し、適切な対応を行うよう抗議しました。
しかし、状況の改善は望めないと判断、大阪府労働委員会に、3回目の不当労働行為救済申立てを行いました。
その結果、この11月、前年の2つの団体交渉に先駆けて、今回のこの3回目の団体交渉の拒否について、大阪府労働委員会はウィザスの不当労働行為を認めました。
そして社に対して、「このような不当労働行為を繰り返さないようにいたします。」という文書を組合に出すことを命令しました。
組合の主張が全面的に認められた形になります。
「経営判断」では逃げられない
1回目の団体交渉拒否事件でも36協定の協議を求めていた組合員を「転勤」させる形で解決を図る際、ウィザスは「経営判断」という言葉を乱用し、今回も閉校は「経営判断」と主張しました。しかし、その判断の根拠や、判断を行った時期などについて、納得できる情報を組合にも組合員にも全く提示せず、対話も拒否しました。
他の業界でもそうですが、学習塾業界においても退職させたい社員への嫌がらせとして、遠隔地の校舎にあえて異動させる、あるいは肩書きだけはあるが実際には見合った仕事をさせない、などの悪質な行為であっても、会社はその意図を隠し、「経営判断の結果」などと主張することがあります。
今回の閉校についても、「経営判断である」と、さも当たり前のこととして大阪府労働委員会への提出書面にも記載しています。
しかし、今回の大阪府労働委員会の命令では、「組合員の労働条件に直接の影響」がある事項は義務的団交事項であるとして「経営判断」は一切認めませんでした。
自社の常識が世間一般の常識とかけ離れていてもそれに気付けていない典型的な事例と考えられます。
それが、不当労働行為に認定されてしまうという、企業としては不名誉極まりない結果を招いたことに、責任と反省が求められます。
先行事件についても、府労委の調査も終了しました。間もなく証人尋問が始まります。組合は、法律の遵守と組合員の待遇確保を最後まで求めていきます。