ウィザスユニオンの要求をウィザス本社が認める
ウィザスの不当労働行為(団体交渉拒否、組合への不当介入等)について、大阪府労働員会(府労委)で争われていた争議が、株式会社ウィザス(第一ゼミナール、ファロス個別指導学院、中学受験第一ゼミパシード、大学SUR合格指導会、通信制高校第一高等学院、等。以下、社)が、労働組合ウィザスユニオン(以下、組合)の要求を全面的に受け入れ、2023年3月6日、大阪府労働委員会の関与により、組合との和解が成立しました。組合の完全勝利です!
大阪府労働委員会で争われた事実
府労委で審議された争点は以下3点です。すべて社の団体交渉拒否が関係しています。それぞれの事件の詳細は過去のアメーバブログ、ウィザスユニオン公式サイトのブログをリンクしてあるので、そちらをご確認下さい。
①社が組合員の待遇変更に関する団体交渉を拒否
そもそもの発端は、2021年、社が、労働環境の改善を求めて勤務校舎での36協定の締結を求めていた組合員との協議を行わず、別の校舎への異動を強行したことです。組合は団体交渉を要求しましたが社はこれを拒否、さらに当該組合員には残業が必須の職場であるにも関わらず残業禁止を命令しました。(2021年(不)40号事件)
2021年大阪府労委「ウィザス事件」、構成要素の一つは「みなし残業代の一方的不支給」その① | 大阪教育合同労働組合 ウィザスユニオン (ameblo.jp)
②社が、組合が要求する季節講習会時の負担軽減に応じず、「変形労働時間制」を全社に強行導入
社は、組合の指摘する季節講習会時の長時間労働の是正をすることなく、組合が反対してきた1年単位の変形労働時間制を導入しました。組合は団体交渉を要求しましたが、社はこれも拒否しました。(2021年(不)66号事件)
(団体交渉での「嘘」。以前にも書きましたが今回その後も記載します(2021年66号ウィザス事件) | 大阪教育合同労働組合 ウィザスユニオン (ameblo.jp)
「2021年66号ウィザス事件(年変形 団交拒否事件」スタートです。それにしても問題が多くない? | 大阪教育合同労働組合 ウィザスユニオン (ameblo.jp)
③2022年、社が組合員の勤務校舎を突然閉鎖。組合員の待遇変更に関する団体交渉を拒否
2022年1月、社は突然、組合員を異動させた教室をわずか1年で閉鎖。校舎の閉鎖理由も曖昧で、明らかに組合員の労働条件の変更があるにも関わらず、社は組合の要求する団体交渉を拒否しました。(2022年(不)5号事件)
第一ゼミナールの個別指導(ウィザス) ファロス教室の閉校問題 – With-us ウィザスユニオン (rouso.jp)
大阪府労働委員会による和解内容
①社の不当労働行為を認定し、組合に謝罪文の手交を命じる
2022年(不)5号事件に関して、2022年11月に大阪府労働委員会から、不当労働行為を認定され、ウィザス本社は再発の防止と、組合に対する謝罪を文書により命令されていました。そして2023年2月、社から正式に謝罪文が組合に手渡されました。
(大阪府労働委員会がウィザスの不当労働行為を認める – With-us ウィザスユニオン (rouso.jp)
②組合員の待遇変更はすみやかに団体交渉を行うことを社に誓約させる
継続して争われていた2021年(不)40号事件および2021年(不)66号事件について、先日、組合の要求をウィザス本社が認める形で、府労委関与による和解が成立しました。
社は、組合に対して遺憾の意を示し、労働者の賃金だけを労働条件と考えるのを改め、労働条件の変更等について組合から団体交渉の申入れがあった時には、誠実に対応し、速やかに協議を行うことを約束しました。
③組合員の労働条件変更に関する事前協議制の確立
今回の一連の大阪府労働委員会での争議は、社が最初から、組合を軽視、強硬な姿勢を取ったことがそもそもの原因でした。
そのため、今後、組合員との36協定の協議を行わず一方的に転勤させるとか、固定残業代の一方的な削除を行うといった労働基準法第一条の趣旨に反する異常な決定を行うとか、変形労働時間制の導入といった労働者の待遇を大きく変える労働条件の変更での団体交渉を拒否するとか、そういったことを改めさせる必要がありました。
しかし、それだけでなく、組合員の労働条件、賃金、手当、移動時間、職場環境など、労働者を取り巻くあらゆる「労働条件」の変更がある場合は、組合と協議をすることを社に「約束」させる必要もありました。
そして今回、組合との協定、よりもさらに重い「府労委を加えての和解」協定として、社に認めさせることが実現しました。ウィザスユニオンに所属する組合員は、不当な異動命令、待遇変更に唯々諾々と従うことなく、団体交渉の場で対抗できるようになりました。
15回におよぶ大阪府労働委員会での調査、それにともなう準備書面や証拠の準備など、相当な労力がかかりましたが、それに見合う結果を組合は獲得することができました。
しかし、失われていた労使間の信頼関係がようやく原点に立ち返ったところであり、2年に渡って中断していた労働環境の改善に向けてようやくスタートラインに立つことが出来たという状況であると私たちは考えています。今後の社の方針次第では、闘争が再燃することもあるかもしれませんが、社が組合の要求を認めたことは意義のあることだと思います。
学習塾の労働組合として共闘するeisuユニオン、ワオコーポレーション組合員の皆さん。今までの多くの貴重なアドバイスやご支援ありがとうございました。これからも学習塾業界の労働環境改善のため、協力して頑張っていきましょう!!