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大阪府労働委員会への「不当労働行為救済申立書」を公開します(2021年66号ウィザス事件)

前回は、「労働委員会への救済申入れ」がどう進んでいくか、ということと、今回の二つの申入れが、現在どのようなところまで来ているのか、をご紹介しました。

前回は、「労働委員会への救済申入れ」がどう進んでいくか、ということと、今回の二つの申入れが、現在どのようなところまで来ているのか、をご紹介しました。

 

 

しかし、「そもそも労働委員会って、なんぞ?」という方もおられると思いますので、そのご説明と、その労働委員会への救済申立てそのものをご紹介いたします。

少し読みにくいですが、これがそのまま「あらすじ」になっているので、今回はあらすじなしで始まっています。

労働委員会とは?

(厚労省HPより引用)

1 労働委員会の概要

 労働委員会とは、労働者が団結することを擁護し、労働関係の公正な調整を図ることを目的として、労働組合法に基づき設置された機関で、

[1]中央労働委員会(国の機関)

[2]都道府県労働委員会(都道府県の機関)

の2種類が置かれています。

 労働委員会は、公益を代表する委員(公益委員)、労働者を代表する委員(労働者委員)、使用者を代表する委員(使用者委員)のそれぞれ同数によって組織されています。

2 労働委員会の機能

 労働委員会では、労働組合法及び労働関係調整法等に基づき、労働組合と使用者との間の集団的労使紛争を簡易迅速にかつ的確に解決するため、次のような事務を行っています。

[1]労働争議の調整(あっせん、調停及び仲裁)

[2]不当労働行為事件の審査

[3]労働組合の資格審査

 また、労働委員会では、個別労働紛争解決のあっせんも行っています(東京都、兵庫県、福岡県を除く、44労働委員会)。

中央労働委員会では、労働委員会への助言等を行っています。

(引用ここまで)

今回は、この2の労働委員会の機能の [2]不当労働行為事件の審査

ということになります。ですので、前回記載したように、「命令」として拘束力を持っていることになります。

では、今回の「2021年66号ウィザス事件」の「申立書」を掲載します。

本当は「2021年40号ウィザス事件」の方から掲載したかったのですが、かなり長いのと、ここまでの流れから後ろの「2021年66号ウィザス事件」の方が分かりやすい、と考えたので、こちらを掲載します。

なお、内容は変わりませんが、段落等は改変しています。

そして、申入書は、保存版としてHPでも掲載予定です。

※そろそろ直近の活動内容の報告が終わりますので、今後のブログの方向性含めて、組合でも色々と検討をしていきますので、12月22日(水)までブログ更新をお休みします。

(引用ここから)

2021年12月3日

大阪府労働委員会会長 様

                               申立人 所在地 大阪市中央区北浜東1番17号8階

                                名称  大阪教育合同労働組合

                      代表者 執行委員長

不当労働行為救済申立書

 労働組合法第7条第2号違反について、労働委員会規則第32条に基づき次のとおり申し立てる。

1.被申立人

    所在地 大阪市中央区備後町3丁目6番2号 KFセンタービル4F

  名称  株式会社 ウィザス

  代表者

2.請求する救済の内容

(1)被申立人は、申立人が2021年6月28日付けで申し入れた団体交渉に応じなければならない。

(2)被申立人は、縦1メートル、横2メートル以上の白色木板に、下記の通り楷書で明   瞭に墨書して、見やすい場所に1週間掲示しなければならない。

                            〇〇年〇〇月〇〇日

大阪教育合同労働組合

執行委員長     様

                            株式会社 ウィザス

社長

陳  謝  文

 株式会社ウィザスと貴労組は2014年2月の組合加入以来、数々の労働条件に関する団体交渉を行ってきました。そのような中、貴労組から変形労働時間制導入に関する2021年6月28日付で申し入れられた団体交渉を拒否しました。この行為は、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であり、深く反省し謝罪するとともに、今後はこのような不当労働行為を一切行わないことを約束します。

                                                       以  上

3.不当労働行為を構成する具体的事実

(1)当事者

申立人大阪教育合同労働組合(以下「組合」という。)は1989年11月23日に主に教育に関係する労働者で結成された労働組合である。

被申立人株式会社ウィザス(以下「ウィザス」という。)は学習塾事業など教育サービスを主たる事業とする法人である。個別指導塾部門を統括する第一教育本部、第二教育本部、統括支援本部、等がある。

(2)本件不当労働行為に至る経過(背景)

① 2014年2月、個別指導塾部門の最高責任者によるパワハラ問題の組合への相談から、加入した。組合は同年5月、ウィザスに対しパワハラ問題の解決およびそれによる未払い賃金の支払いを求める団体交渉を申し入れ、同年12月、組合と会社は団体交渉の結果、合意に至り協定書を締結した。

また組合員らは同年10月、ウィザス支部を結成し、会社と組合員の労働条件について団体交渉を継続して行っている。

② 2019年6月、第一教育本部で、労働者代表の選出が社員に知らされることなく、課長あるいはエリア長を指名して届けられていることが明らかになった。

同年7月2日、組合は36協定が適切に締結されていない状況での残業は労基法違反であることを指摘し、残業をなくすこと等を要求した団体交渉を申し入れた。

また、支部は労働基準監督署に36協定締結の労働基準法違反、残業代の未払いを申告し、同年11月15日、労基署からウィザスに対して是正勧告が出され、  の勤務する   教室(以下「   」という。)のみ、同年12月15日労働者代表選挙が実施された。

③ 2020年9月15日、組合は団体交渉継続申入書を提出し、36協定締結に関する協議、未払い賃金等を要求した。

④同年11月13日、  は   の全労働者の意見を集約し、36協定締結に向けての協議申し入れをウィザスに提出した。

⑤同月16日、12月14日、2021年1月25日、2020年9月15日付要求書に基づく団交が開催された。団体交渉では、恒常的に発生する時間外労働の是正についてその解決を求めたが、ウィザスは法定休日と法定外休日について明確に回答できない状態がつづいた。

一方、一年単位の変形労働時間制の導入によって時間外労働の是正を検討中であると回答したため、組合は変形労働時間制の導入については反対である旨を主張し、導入に関しては組合との協議を行うことを要求した。

ウィザスは持ち帰って検討するとした。また、  が   の労働者代表として申し入れた36協定締結のための協議が行われず、団交中に抗議した組合に対して「この場ではなく、別途連絡」すると回答した一方、   には異動内示と36協定が未締結であるとして支部代表へ時間外労働を禁じる業務命令書を発出し、3月給与から時間外調整手当を減額した。

組合は減額された時間外調整手当の支給等を求め大阪府労働委員会に2021年8月12日、不当労働行為の申立てを行い、現在、府労委において係争中である(府労委2021年(不)第40号 ウィザス事件)。

⑥ 同年3月29日、  から  に異動した   は、前任者より   において一年単位の変形労働時間制の導入が同年2月18日にウィザスより指示されていたことの情報提供を受けて初めて知ることとなった。

(3)本件不当労働行為にかかる具体的事実

① 2021年6月28日、組合は変形労働時間制導入に関する団体交渉再開をウィザスに申し入れた(以下「本件団交」という。甲第1号証)。

② 同年7月2日、本件団交申入れに対してウィザスから書面回答があった(甲第2号証)。

③ 同年8月7日、  はウィザスの組合担当者に架電し、本件団交申し入れの趣旨を説明し、改めて本件団交の開催を求めたが、ウィザス担当者は甲第2号証以上の回答はないとした。

④ 同月25日、   がウィザス担当者へ架電し本件団交を拒否するのかと聞いたところ、拒否するとの回答を行った。

⑤ 同年9月7日、同月16日、  はメールにて本件団交の開催について改めて質問したところ、同月21日、ウィザス担当者より甲第2号証及び同年8月7日、25日の架電の通りであると返信があり本件団交を行う意思がないことを回答した。

4.本件不当労働行為について

(1)上記3.(2)⑤のとおり、組合は時間外労働の是正についてウィザスと団体交渉を継続して行っていた。

その団交でウィザスは時間外労働の是正として一年単位の変形労働時間制の導入を示唆したが、組合に対してその詳細について回答することはなく、あくまでも検討中であるとの姿勢を示した。

一方、上記3.(2)⑥のとおり、団交継続中に既に   においては変形労働時間制の導入を行っていた。

組合はウィザスが検討中であるとしていた変形労働時間制が既に導入されていることを知り、上記3.(3)のとおり2021年6月28日に本件団交申し入れを行ったが、ウィザスは書面回答のみで済まし、本件団交を拒否した。

このことは労働組合法第7条第2号に該当する団交拒否の不当労働行為である。

5.結語

   組合は、現在、府労委2021年(不)第40号 ウィザス事件において、ウィザスの不当労働行為を申し立てているが、申し立て後もなおウィザスが組合軽視、団交拒否を行っている明確な事実を表している。

変形労働時間制の導入については、団交継続中にウィザスが組合に対して検討中であるとしか明かしていなかったにもかかわらず、組合活動ゆえに不当な人事異動命令が行われた組合員の異動先において既に導入されていたことを知ると言う極めて悪質な労働条件の変更である。

なお、その人事異動に関する団体交渉もウィザスは通常の異動であるとして拒否している。

変形労働時間制導入は労働条件の重要な要素である労働時間の変更である。

労働条件について団交を拒否することはあってはならないことであり、労働委員会には早期に救済命令を行うとともに、労使関係の正常化にむけてウィザスを指導していただきたい。

以上

(引用ここまで)

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